2023年9月15日~2023年10月1日に東京・原宿で開催された“TIME UNLIMITED-カルティエ ウォッチ 時を超える-”のレポートを、遅ればせながら投稿します。
展示紹介
会場に訪れた目的はずばり サントス

カルティエにはたくさんの魅力的な時計がありますが、私が一番好きなモデルは何と言ってもサントス ドゥ カルティエ(以下サントス)。
今回、大好きなサントスを見る目的8割で訪れました。
「女がサントスなんて……」と言われるかもしれませんが、誰がなんと言おうと私はサントスが好きなんです。

メゾンを紹介する動画が流れ、カルティエの世界に引き込まれる
会場に入るとまず、足元もやっと見えるかどうか、というほどの暗い部屋に案内されました。
中にある1つのスクリーンだけが光っていて、どうやら何か映像が流れるようです。
壁際に立っていた案内人の方が「スクリーンにご注目ください」と言うと、カルティエの歴史を紹介する映像が流れ始めました。
内容は主に、カルティエ2代目当主のアルフレット・カルティエと3人の息子たちを紹介するものでした。
次男ピエール・カルティエはビジネスをロンドンへそしてニューヨークへと拡大したこと。
三男ジャック・カルティエはインドから中東への旅で様々なインスピレーションを持ち帰り、それが今日でもメゾンに影響を与え続けていること。
そして長男ルイ・カルティエの紹介が始まると、「時は1904年 手首に着けることを前提とした世界初の実用的腕時計を誕生させ時代を加速させたのです」という言葉から始まり、サントスの紹介がありました。
続いて初の特許取得である“デプロワイヤントクラスプ”の説明や、不動の人気モデルであるタンクの紹介があり、約2分半の動画が終わりました。
貴重モデルの数々が並ぶ展示スペースは圧巻
続いて案内されたのが、歴代のコレクションを見れる開けた展示スペース。
丸い空間を囲うように、壁に時計が展示されているだけでなく、中央スペースにも展示がありました。
歴代の洗練されたデザインの時計を次々と目に入れられる贅沢なひと時を楽しみました。
華やかな時計がたくさんある中で、私が目を引かれたのがこの“パンテール”です。

大胆に豹のモチーフが施されたパンテールに注目
しなやかで美しいパンテール(豹)が大胆に文字盤の上に配されたモデル。生では初めて見ました。
パンテールは、ルイ・カルティエが、宝石商でありファッションデザイナーでもあるジャンヌ・トゥーサンと出会ったことで誕生しました。
二人は恋仲だったという話もあることを思うと、ちょっとロマンティックな気分になります。
そして、まるで“時”をイメージしたようなドーム型の空間をくぐり、第一展示室は終了。

体験ブースでは工房見学やプリクラ撮影が可能
一度外に出て、第二展示会場へ向かいます。
様々な体験ができるブースと、販売ブースが備わっていました。
1つ目が、時計を、下からどの順番で組み立てるかを当てるパズルゲーム。どのタイミングでムーヴメントを入れるか、そしてリューズを差し込むのか、と少し悩みながらですが完成しました。
2つ目が、簡易試着ブース。

腕時計がケースとベルトを含め、まっすぐの状態で展示されているので、時計の下にそっと手をかざすだけで、サイズ感や着用イメージを想像することができるのです。
3つ目が、VRで工房見学ができるブース。
4つ目が、なんとプリクラ(もしかして死語でしょうか)が取れるブースでした。
一人につき1枚プリントしてもらえました。
背景をモノクロかカラーで選ぶことができるところにも、カルティエのセンスを感じます。

世界で初めて実用化されたメンズ時計・サントスの歴史
サントスの歴史を少しだけ紹介
一番興奮したのが、販売ブースでサントスを目にした時でした。
サントスといえば、1904年に世界で初めて実用化された男性用の腕時計として知られています。
それ以前に、1889年~1902年に起きたボーア戦争で兵士が、戦闘中でも時刻を確認しやすいよう、懐中時計を腕に巻いたのが起源とも、1880年にドイツ海軍将校のためにジラール・ぺルゴが腕時計を作った記録があるともいわれていますが、実用化されたのはカルティエが初めてです。
もっとも、女性用の腕時計はさらにその前に誕生していました。サントスが登場する前は、腕時計は“ブレスレットウオッチ”との認識が強かったのです。
つまり、腕時計はアクセサリーだったのですね。
“男性が着用するもの”という認識はなかったわけです。
それが今のように、腕時計といえば“男性のたしなみの1つ”というイメージが浸透したのも、このサントスがあったからなのではないかと思うのです。
飛行船乗り“アルベルト・サントス・デュモン”とルイ・カルティエとの出会いがきっかけ
サントスが生まれたのは、パリの空を優雅に飛行していた飛行船乗り“アルベルト・サントス・デュモン(以下サントス氏)”とルイ・カルティエとの出会いがきっかけでした。
サントス氏から「飛行船を操縦しながらでも時刻を確認したい」との依頼を受けたルイ・カルティエは、1904年に腕時計“サントス”を完成させます。
腕時計というと戦争のイメージがつきものですが、私は、パリの人々に愛され、優雅に空を飛行し“人生を最高に楽しんでいるおにいちゃん”(※当時推定33歳)がきっかけで生まれたサントスこそ、“世界初の腕時計”と思いたいのです。
サントス氏は、ライト兄弟の影響を受け、飛行機に興味を持つようになります。
そして1906年に自身で飛行機を完成させるまでに至りました。
しかし故郷のブラジル国内で起きた反乱の鎮圧に、サントス氏が製作した飛行機が使われているのを知り、落胆します。
そして1932年にブラジルで自殺を遂げてしまいます。
これは憶測になりますが、自身の発明が戦いの道具とされる様子を彼はどのような目で見つめ、どれほどの深い心の傷を負っていたのでしょうか。
現行のサントスから感じるカルティエの思い
現行のサントスはユニセックスなサイズ展開をしており、メンズ・レディースとサイズを分けることなく、S・M・L・XLとサイズに分けて展開しています。私が見た限りでは、Sサイズは基本的にクォーツモデルのようです。
この日試着したのは自動巻きのMサイズのモデルでしたが、少々大振りながらも程よいサイズ感。
メタリックなグラデーションがかかった文字盤と、ローマンインデックスを採用することで、モダンとクラシックが絶妙に融合されたデザインに仕上げられています。

男性の時計、というイメージが強いサントスですが、男女問わず愛用できるところも嬉しいですね。
ジェンダーレスが進む現代において、その需要をしっかりと取り入れているのを感じました。
いつの世もファッションの先端を走り続けるカルティエの思いと、関わった様々な人々とともに育てられた歴史に心打たれた展示会でした。


